『ママレボ』は、
放射線量の高い地域の状況や、
「子どもたちを守ろう!」と
全国で立ち上がったママたちの活動を
伝える冊子だ。
2012年4月に創刊号を発行し、
昨年11月まで6号を重ねている。
その第6号に、
血液検査の必要性を訴える記事が載っていた。
以下、その一部を紹介する。
(『ママレボ』は山の家にあります)
のべ1,500人の血液検査や甲状腺エコー検査を行ってきた
三田医院(東京都小平市)の三田茂院長に聞く
子どもの血液検査結果から見えてきたこと
関東全域の子どもたちに血液検査を!
Q 三田医院で行っている検査について、
詳しく教えてください。
当医院では、2011年10月ごろから、
「白血球分画(はっけっきゅうぶんかく)」を含む血液検査と、
甲状腺エコー検査を実施してきました。
白血球は、5種類の球(好中球、好酸球、好塩基球、単球、リンパ球)
からできているのですが、
その5種類の割合を調べるための検査を
「白血球分画」と言います。
放射線をたくさん浴びる仕事に携わっている人は、毎年
「白血球分画」を受診しています。
今、甲状腺エコー検査ばかりクローズアップされていますが、
放射線の影響を調べるためには、
「白血球分画」の検査をする必要があると思っています。
骨髄は放射線の影響を受けやすい臓器のひとつです。
そのため、放射線の影響を強く受けると、
骨髄で作られる血球の質や、
割合に変化が生じるのです。
福島県民健康管理調査の中でも、
避難区域等に居住していた住民に対してのみ、
この検査が行われていますが、
福島市や郡山市はもちろん北関東や首都圏の住民まで、
この検査をすべきだと思います。
当院に検査に訪れる子どもはほとんどが、
東京、千葉、神奈川、埼玉、北関東ですが、
これらの子どもの白血球中の「好中球」の割合が、
明らかに減少してきています。
小学生の「好中球」の基準値は、3000~5000。
事故以降、当院に検査しにやってくる小学生の平均値は
2500にまで下がってきているのです。
これは、非常に問題です。
「好中球」は、
通常、白血球全体の約60%を占めており、
体内に侵入した細菌やカビなどを
内部に取り込んで殺菌する働きをしています。
風邪をひいて万一こじらせたときに
敗血症になったりと、命取りになりかねないので
注意が必要なのです。
また、数値の異変だけでなく
身体的な異変もあります。
2011年の夏は
目が充血して真っ赤になっている子どもが多かった。
一番多いのは、
目の下にクマがある子ども。
軽いぜんそくを伴う副鼻腔炎などもふえ
長引くケースがふえました。
東京でも福島原発由来の放射性物質は飛散してきましたし、
汚染されたゴミが大量に燃やされていますから、
呼吸によって空気中に含まれている放射性物質を
取り込んでいる可能性は否定できないと思っています。
「好中球」の値が低くても、
最低でも2週間以上保養に出れば、
多くの場合、数値は回復する傾向が見られます。
「好中球」が1000くらいしかなかった子どもも、
長野県に避難した後に検査したら、
正常値の4000くらいに戻っていました。
ですから、数値に異変があった場合は、
できるだけすみやかに
汚染されていない土地へ保養や避難していただくよう
おすすめしています。
数週間単位でも、
こまめに保養に出ている子どもの数値は
比較的安定していますからね。
しかし本当は、
できれば東日本から移住していただきたい、
と私自身は思っています。
それは子どもだけでなく、大人にとっても同じです。
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三田医院の三田茂院長 |