2013年2月16日土曜日

美しい大槌の自然


「暖かい北海道に帰れる」

6回目の東北支援活動を終えて、2月10日、花巻空港発札幌行きJAL便の機内に向かって通路を歩きながら、思わず出た言葉が「暖かい北海道に帰れる」だった。それほどに冬の東北、大槌町は寒かった。
 屋外は北海道の方が寒いのだろうが、屋内はコタツにポータブルストーブだけ。住宅の機密度、断熱性もだいぶ違う。暖かいのはコタツに入れている足だけで、上半身は寒い。同行したNさんは、防寒着を着て布団に入った。東北の人には当たり前の暮らしだが、北海道人にとってはきびしい。これは9日、個人宅に泊めていただいたときの話し。

大槌を終の住処と定めて

9日に泊めていただいた山崎盛(さかり)さんは70歳。新日鉄釜石を40数年勤め上げ、定年退職後の人生を送っているさなか、大津波に襲われ、大槌町桜木町の自宅の1階が浸水した。花巻に避難する間もなく妻を病死で失い、2重の失意の中、ゆいっこ花巻のサポートに心身ともに助けられたという。
 近所の家はみんな流されたが、山崎さんの家だけは土台と柱がしっかりしていて残った。資材不足と職人の確保できず、改築に1年1ヶ月かかったが、昨年夏完成し、花巻から戻った。3人の子どもたちは家族を持ち、関東や下関に住んでいるが、それぞれの部屋を用意して孫を連れて帰ってくるのを心待ちにしている。いつ再び津波が襲ってくるか分からないが、終いの住処として選択した山崎さん、ふるさと大槌の自然と風景が自慢であり、誇りでもあるようだ。寒い部屋の中で、山崎さんの心の暖かさだけは充分、伝わってきた。

浪板海岸から船越湾を望む(山崎さん推薦の場所から)



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