2014年3月22日土曜日

ヨウ素剤と昆布


以前、
このブログで紹介したこともある
関さんの詩。

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「ヨウ素剤と昆布」 関久雄

ひとつぶの ヨウ素剤が あったなら
よっつに わって お前たちに 飲ます
じゅっつぶの ヨウ素剤が あったなら
ひとつぶ ずつ お前たちに 飲まして
残りは 近所の 子どもに 分ける

お父さんは どうするの
おれは いつも
昆布を 食べているから 大丈夫

あの日 ゲンパツ 爆発し
ヨウ素剤を 求め かけずり回った 母親
だが 待てど 暮らせど 配給はこなかった

ようやく 手にした バイオ燃料で
お前たちを 所沢に 送り出した あの日
死の灰も 一緒に 南下した というではないか 

「ただちに 人体に 影響が出るものでは ありません」
「こどもを 外で遊ばせても 大丈夫」 と 言いながら
医大の人たちは  こっそり ヨウ素剤 飲んでいたってね
誰にも言うなって 口止めされて いたってね

ああ そったに ヨウ素剤 欲しかったんだべか
ああ そったに わがだけ 助かりたかったんだべか
ウソをつくと 苦しむって わからなかったんだべか
ああ そん時から オラたちは 見捨てられていたんだべか

あれから 3年 甲状腺ガン 75人 
うちの 子どもも A2だ  おめさん A2って わがっかい
のどに 水ぶくれが あるんだよ

もう 国なんか あてにすんな
ヨウ素剤なんて 待ってんな
昆布 食うべ 昆布 食って
生きのびて 見せんべ

(2014年2月23日)

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