今日の朝日新聞夕刊で
オバマ大統領の広島訪問について
赤坂真理、藤原帰一の見解と原爆詩人・栗原貞子の詩が
紹介されていた。
それに触発されて・・・。
核兵器は無辜の民を殺傷する非人道的な兵器で、
撒き散らされた放射能が世代を超えた健康被害をもたらすという点で
他の兵器とは根本的に違う。
戦争を早く終わらせるためとはいえ
広島24万人、長崎14万人(原爆死没者名簿)もの
無辜の市民を殺した歴史に対し、
米国の大統領が謝罪するのは当然のことだ。
だが、謝罪を求める日本側に
被害者意識しか存在しないのであれば
それも説得力に欠ける。
「ヒロシマというとき」を栗原に書かせたのは
「(戦争を終結させた)原爆が
私たちを解放してくれた」
という韓国側の原爆観だという。
『ヒロシマというとき』
〈ヒロシマ〉というとき
〈ああ ヒロシマ〉と
やさしくこたえてくれるだろうか
〈ヒロシマ〉といえば〈パール・ハーバー〉
〈ヒロシマ〉といえば〈南京虐殺〉
〈ヒロシマ〉といえば 女や子供を
壕のなかにとじこめ
ガソリンをかけて焼いたマニラの火刑
〈ヒロシマ〉といえば
血と炎のこだまが 返って来るのだ
〈ヒロシマ〉といえば
〈ああ ヒロシマ〉とやさしくは
返ってこない
アジアの国々の死者たちや無告の民が
いっせいに犯されたものの怒りを
噴き出すのだ
〈ヒロシマ〉といえば
〈ああヒロシマ〉と
やさしくかえってくるためには
捨てた筈の武器を ほんとうに
捨てねばならない
異国の基地を撤去せねばならない
その日までヒロシマは
残酷と不信のにがい都市だ
私たちは潜在する放射能に
灼かれるパリアだ
〈ヒロシマ〉といえば
〈ああヒロシマ〉と
やさしいこたえが
かえって来るためには
わたしたちは
わたしたちの汚れた手を
きよめねばならない
(『ヒロシマというとき』一九七六年三月)
「私たちの汚れた手を清めねばならない」は鮮烈だ。
広島市立大平和研究所の元所長浅井基文氏は
オバマ氏の広島訪問について
「現実には日米同盟強化の儀式」と喝破する。
そのことも分かった上で・・・。
赤坂は、原爆投下と対になる真珠湾攻撃について
「安倍首相が真珠湾を訪ねる意義はある」が、
「首相が真珠湾を謝罪できないのはオバマ氏と同じ」という。
それでも、今回の訪問を未来につなげる一歩とするため
日本は主体的に発信していくべきという。
日本のリーダーが発言すべき内容について
以下の提案をしている。
「私たちは戦力不保持を宣言する憲法を持つ。
草案を書いたのは米国人だが、私たちはそ
の憲法を大事にしてきた。オバマ大統領、
あなたが武力によらない平和を夢想するよう
に、この地上から戦争をなくしたいのです」
もちろん、安倍首相がそんなことを言うはずはないが、
米国の核の傘の下で経済的繁栄を得てきた戦後日本、
その矛盾、よじれを明らかにしない限り、
本当に意味で核廃絶の一歩を日本は踏み出せないことを
肝に銘ずべきだろう。
アメリカの大学教授が実施した世論調査。
イランがアメリカの空母を攻撃し、2,403人の死者が出て、
アメリカは宣戦布告をしたという架空の設定。
イランに地上軍を派遣すれば、米兵2万人の犠牲者が出る。
イラン主要都市に核兵器を投下すれば、イランに
10万人の犠牲者が出るが、米兵の被害はない。
二つの軍事戦略にアメリカの世論は
核兵器使用に賛成が59%だったという。
被爆国の核廃絶の願いは伝わっていない。
オバマ大統領のプラハ演説から7年。
ノーベル平和賞までもらったのに
核軍縮はいっこうに進んでいない。
演説はうまいが結果を出せないオバマ氏ーという前に、
今回の広島訪問を未来につなげる一歩にするため
問われているのは被爆国日本の一人一人だと思う。
政治の中で理想が語られなくなって久しい。
「でも人間の心を動かすのは、
そういう理想を語る言葉です」(赤坂)。
オバマ氏の発言を注視したい。
原爆により終戦が早まり、それによって救われた命もあるという考え方は間違っています。そのような考え方は人間を差別し、人を殺すことを正当化する思想に他なりません。
返信削除広島では強制連行された朝鮮人も3万人近く亡くなっているはずです。原爆投下がなくても、いずれ日本は負けて朝鮮は解放されたのですから、韓国人は広島の原爆投下に関して、米国を非難すべきでこそあれ、それによって日本の植民地支配から解放されたなどと考えるべきではないでしょう。
いかなる理由があっても、核兵器の使用は誤りであるという「核廃絶」の思想をより強固にし、日本はもっと強く訴えていくべきですね。一方で、アメリカの核の傘の下にいるという自己矛盾、よじれ。曖昧な日本、曖昧な日本人。
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