5月中旬に「えにわプレミアム商品券購入申込書」が
市役所から送られてきた。1世帯で2万4千円の商品券
が2万円で購入できる。消費者は4千円分得するわけだ。
これは買わない手はない。
でも、なぜこんなことをするのだろう。恵庭市のホー
ムページには「地域の消費喚起のため」と書いてある。
いろいろと調べてみると、2014年度補正予算により執
行される「地域活性化・地域住民生活支援等緊急支援交
付金」という長ったらしい名前の制度を利用して、各市
町村がこのプレミアム商品券を発行しているそうだ。
確かに生活支援にはなるだろうが、そんなに緊急性を
要するものだろうか。円高株高で景気は上向いているが、
個人消費や地方にまで波及してない現状の打開策なのだ
ろうか---などと考えてみるが、今ひとつ腑に落ちない。
このプレミアム商品券が地域の消費喚起になり、地域
活性化につながるなら大賛成。でも新しい消費の掘り起
こしにつながるとは思えないし、地元商店からの購買を
促進するというなら、大規模店では使えない専用券が1
万2千円のうちのわずか千円だけとういのは少なすぎは
しまいか。
この交付金の活用法は市町村の知恵の出しどころ。か
つて「ふるさと創生資金」という制度があり、全国の市
町村に自由に使えるお金が1億円ずつ配られ、金塊を買
った自治体もあったそうだが、効果的な使い方をした自
治体も少なくなかった。ところが今回は、全道179市
町村のうち178市町村がプレミアム商品券を発行する
ことにしたそうだ。
ただひとつ、独自の活用を考えたのは後志の仁木町。
町の特産品であるフルーツや野菜をマルシェ形式で販売
する『NIKIまるしぇ』を月1回開催する。交付金を
活用して3割安く販売し、町内外から消費者を呼び込み、
地域の賑わいをつくり出そうというのだ。町外の需要を
喚起すると同時に、仁木の特産品や地域の魅力を情報発
信する機会にする。町内には商店数も少なく、プレミア
ム商品券発行の意義が小さいにしても、全道で唯一、こ
うした独創的なアイデアを考えた仁木町に敬意を表した
い。
話しは変わるが、大手広告代理店DACグループが仁木
町に6万5,000坪の畑を購入し、ワインぶどう栽培にワイナ
リーやレストラン、ホテルを併設した複合施設のオープ
ンに向けた事業を今年2月スタートさせた。そして、行
政や企業、ワインぶどう栽培農家を巻き込んで、余市か
ら仁木にまたがる「余市川ワインバレー構想」をぶち上
げた。
この地区のワインぶどう生産量は約1,000トン。すでに
全国の20~25%を占める最大の産地なのである。ところが、
サクランボといえば山形、ぶどうは山梨甲府、りんごは青
森。味も生産量も見劣りしない余市や仁木の名前は出てこ
ない。
観光ソリューションを得意とするDACが余市川両岸に
200カ所のワイナリーを集積させ、ワインツーリズムで年間
100万人の観光客を呼び込み、3年間で人口500人増を豪語
する。
北海道では珍しい本州大資本と小さな行政とのコラボレー
ションだが、『NIKIまるしぇ』を考えた仁木町の企画力に
期待したい。同時に、そこに市(町)民力が加わりトライ
アングルができないと事業の成功はおぼつかないだろう。
(「千歳民報」寄稿)
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余市町モンガク・ワイン・バレーにある
トミー農場から見る余市・仁木の町 |