多くの人々にとって、この震災は
過去の出来事になってしまったか
もしれない。
だが、東日本大震災は終わりではなく、
何かの始まりである。
今までの枠組みを超えた対応が求められている。
「戦後」に匹敵する認識の転換点と言われた。
しかし、この社会は何も変わっていない。
むしろ、既存の枠組みへの揺り戻しの力が
強く働いている。
我々はなぜ変われないのか。
『東北発の震災論〜周辺から広域システムを考える』
(山下祐介/首都大学東京准教授)の書き出しである。
まったく同感。
東北の地域社会を観察してきた筆者は
問われているのは、
「東北から始まる再生はいかに可能か」だが、
いま行われている議論は、
「どうお金をかけ、どの事業をあてはめるかでしかない」
と切り捨てる。
ただ、市民の側も「誰かが何とかしてくれる」
という強い依存感覚が働き、主体的な動きが
あらわれなかった。
かつては家々の復興はそれぞれがおこなっていた。
それを基盤に経済も自治体も再建された。
しかし今は、大きなシステムが動かないと
家も個々の生活も成り立たない。
人間のためのシステムがいつの間にか、
システムのための人間になっている
今回の震災で見えてきた課題は、
国家・経済大国・科学という中心的価値に対し、
地方主権・暮らし・生活の知恵といった周辺的な
ものの復権こそ、求められている。
脱原発ではなく脱システムこそが必要。
システムと個人の中間に、小さな共同体の意志を
創り出すことが脱システムへの始まりーという。
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