2016年10月4日火曜日

「おもいっきり夏休みin北海道」第11回自然体験学校を終えて

今年の「おもいっきり夏休み」第11回自然体験学校は後半、
道東の屈斜路湖で開催しました。

仁木町の山の家から離れて開催するのは初めてです。
山の家から屈斜路湖まで約400km。
福島から青森までに匹敵する遠さです。
北海道は「でっかいどう」です。

美幌峠
屈斜路湖では釧路市に住む鈴木英男さんの別荘をお借りしました。
鈴木さんは、過去にも福島の子どもたちに別荘を
提供した度量の広い、素晴らしい人です。

24時間かけ流しの温泉露天風呂や五右衛門風呂があり、
子どもたちは毎日大喜びでした。
鈴木さん所有のモーターボートにも乗せてもらい、
湖上を疾走する醍醐味を味あわせていただきました。

屈斜路湖
また、クレーン車を運んできてブランコを作ってくれたり、
子ども専用ルームを作ってくれたり、
子どもたちが楽しく過ごせるよう配慮をしてくださいました。
鈴木さんのご好意には感謝しても感謝しきれません。
本当にありがとうございます。

クレーン車に作ったブランコ
さて、今回の「おもいっきり」の参加者は17人でした。
小学生が13人、中学生が2人、高校生2人です。
中学生が少ないのはいつも通り、夏休みに部活があって、
参加しづらいからです。

第一回から参加して今年高校生になった子は、
ボランティアスタッフで参加しました。

女子が10人、男子7人、久しぶりに男女比が逆転しました。
草食系の男子に対し肉食系の女子、その勢いに男子から
「勝手に男子の部屋に入ってくる」など悲鳴が上がっていました。

障がいを持った子は6人、寝起きを共にすることで、
それが当たり前の日常をつくってきました。

地域別では、郡山が9人、相馬4人、いわき2人、
そして福島市1人と郡山から札幌に避難してきた子が1人です。

恒例の余市川カヌー体験
昨年の冬休みに続いて、福島大学の学生らが3人、
ボランティアスタッフで参加してくれました。

札幌協働福祉会に全面的に依拠して実施してきた事業ですが、
昨年山の家を支える会を発足させ、
夏休みから自立的運営への第一歩を踏み出し、
ボランティアスタッフの比重を高めてきました。

2年目の今回、休みなしの通しで参加してくれた2人と
途中参加の1人が大きな力を発揮してくれました。
イクミン、エリポヨと慕われた2人、
子どもたちが別れを惜しむシーンが忘れられません。

冬休みに続いて、今回も札幌の石橋胃腸病院では
甲状腺エコー検査をはじめとする健康診断を無料で実施していただきました。
全員問題なく、ホッとしましたが、
福島県では甲状腺検査の縮小も検討されており、
お母さんたちから怒りの声が上がっています。
甲状腺にとどまらない健康検査の長期的継続は必須です。

甲状腺エコー検査
第1回目からの目標である「自分たちで企画し、決定し、行動する」に
大きく近づいた今回の「おもいっきり」でした。

最初に子どもたちに
「お客さん扱いはしない。家では食事を作ってくれる人がいたかもしれないが、ここでは全部自分たちでしよう」と申し渡しました。

そして、掃除や食事の後片付けにとどまらず、
今回は食事を作るところから参加してもらいました。
子どもたちは掃除も食事作りも、
そして後片付けも楽しんでやっていました。

プログラムを用意しないで、自分たちで何をするか
企画し実行してもらおうと考えたのですが、
今回は山の家での滞在期間が短く、
そこまではできませんでした。
でも、日々の生活の端々で子どもたちは本領を発揮しました。

ある時、男子側から「山の家で楽しく過ごすために」
と話し合いの提案がありました。

子ども会議の始まりです。
「スタッフを叩いたり、つねったりしたのを見かけた。
 嫌なことはしないようにしよう」
「あだ名で呼んでいるが悪口に聞こえる。男子側としてはあだ名は嫌だ」。

女子の間での諍いも議題に。延々2時間の話し合い。
泣き出す子もいたが、スタッフは一切口出ししないで見守ります。

子ども会議
「せっかくの夏休みを台無しにしたくないから、話し合いをしている」
「楽しかったと言って別れたい」
「スタッフに頼らないで自分たちで解決したい」
「お互い言い合っても解決しない。次どうしたらいいかを考えよう」
・・・屈斜路湖に移動してからも、子ども会議は続きました。

結論よりも問題があれば話し合うというこの過程が大切。
なんと、屈斜路湖では班分けも自分たちでやってしまいました。
子どもたちの成長ぶりはスタッフの想像を超えました。

その中で、リーダーシップを発揮し、16人の子どもたちをまとめたのは
毎回参加している中学生のWくんです。
11回目の「おもいっきり」の成果はここに凝縮されています。

鈴木さんが作ってくれたクレーン車のブランコ。
誰にも言われないのに、
子どもたちはトラックの荷台の掃除を始めました。

バケツに水を汲んできて、荷台を拭き掃除
鈴木さんの思いが子どもたちに伝わり、
子どもたちはそれに応えたのです。
いろんなことを子どもたちが教えてくれた2016年の夏でした。

<追記>ブログ「山の家通信」は今回をもって、しばらくお休みします。
    お読みいただいた皆さんに心からの感謝を申し上げます。
    ありがとうございました。


2016年9月24日土曜日

汗して働くことの意味

森づくりに欠かせないのが間伐。
競合する木を切ることで、
残った木を大きく育てる。

間伐以上に、
切り倒された木を運び出すのは大仕事。

昨日今日と間伐した材を一時保管する
土場作りを行った。

PCウィンチで引き上げた木を
土場に積み上げるのは人力。
重たい!辛い!

でも、汗して働いた後の充実感は何なのだろう。
汗して働かなくても食べたり楽しんだりできる。
でも、この充実感を得ることはできない。

労働はただ物を作るためだけでなく、
人の心を作っていく大切な役割を果たしているのだ。




2016年9月19日月曜日

母子避難〜吉田千亜さんの講演会

<こだまプロジェクト>からの転載。

原発自主避難者の住宅支援が打ち切られようとしています。
福島県は激変緩和策を発表し、避難元の各行政単位でも支援
の動きはありますが、対象となる避難者の幅が狭く、また、
苦しい生活に追いやられている方を救うまでには至らないの
が現状です。
もちろん、すでに自立の道を歩み始めている避難者もたくさ
んおりますが、それは幸運と努力の結果であって、理不尽な
状況が変わったわけではありません。
今一度、原発事故が何をもたらし、何を壊していったのか、
「母子のみによる避難」という特殊な形態が出来上がった現
状を、今一度考えてみたいと思い、ルポ「母子避難」を書い
た吉田千亜さんの講演会をこだまプロジェクトで企画しまし
た。



2016年9月18日日曜日

「3・11甲状腺がん子ども基金」が発足

昨日、「3・11甲状腺がん子ども基金」が発足した。
呼びかけ人は小泉純一郎元首相、細川護煕元首相ら。
一丁あがりの人たちが頑張っている、いや頑張らざるをえないのだ。

菅谷昭松本市長(基金の特別顧問)の設立シンポでの基調講演。

「やっとここまで来た。重要な基金が設立された」

「福島で見つかっている甲状腺ガンの原因など、現時点では特定出来ない。『放射線の影響ではない』ではなく『分からない』と言うべきだ」

「スクリーニング効果だという指摘があるが、ではなぜ7割以上がリンパ節や肺などに転移しているのか」

「甲状腺ガンばかりが注目されるが、チェルノブイリ原発事故後の健康被害として「免疫機能の低下」、「造血器障害」、「集中力低下」、「疲れやすい」などが報告されている。6歳から17歳までの定期健診では、眼科や歯科検診、血液、尿検査も実施されている。ゴメリ州の産科医は「ぜんそくや皮膚疾患などのアレルギー疾患、胎児異常の増加」を指摘している」

「ベラルーシでは、汚染地域に暮らす子どもたちを対象に年1回、1カ月間にわたる非汚染地での長期保養が実施されている。費用は全て国家予算で賄われ、保護者の負担は無い」

「向こうでは、保養を非常に重視している。汚染地で生活していると、注意していても汚染された食べ物を食べてしまう。でも、3週間から1カ月、きれいな土地で生活すると排出される。精神的にも良い。私も福島第一原発事故当初から保養は長期でやるべきだと言ってきた

「日本も国の責任を果たすべきだ。国民がムーブメントを起こすべきだ」

「一定の年齢以上の方が故郷に戻りたいという気持ちは分かる。しかし、今なお原子力緊急事態宣言は解除されていない。それなのに海外で『アンダーコントロール』と言ったり、若者や子どもに『大丈夫だから帰還しなさい』と言ったりする。矛盾している。大丈夫なら年20mSvでなく年1mSvに戻すべきだ
 
 5年間ベラルーシで医療活動をしてきた菅谷さんならではの説得力のある指摘だ。保養も3週間から1ヶ月は必要。短期の保養にお金をかけるのは意味がない。
6年目を迎え、今までの延長線ではない、新しいムーブメントが求められている。


PCウィンチの威力はすごい!

この冬に間伐した木が
森の中にたくさん残っている。

木を伐るより大変なのが
材の運び出し。

ところが、
今年買ったPCウィンチを使うと
楽に引き上げることができる。

機械の設置や操作も簡易、
4mある間伐材を2本いっぺんに
引き上げることができるので効率的でもある。
作業の安全性でも優れている。

黄色い帽子を材にかぶせると
障害物を避けて、難なく登っていく。

林業の先進地、
カナダで開発された。






森の中の稚樹を育てる

昨日は6月にササ刈りした森の2回目のササ刈り。

カラマツを間伐したので、
一帶は広葉樹林になっている。
ヤマグワ、ウダイカンバ、キハダ、ナナカマド、ドロノキ、ヤチダモ。

ササ刈りしたところから
広葉樹の稚樹が出ている。

ミズナラ、イタヤカエデ、ハルニレ、クルミ、キハダ。
稚樹は1年に30cmも伸びるので、
ササ刈りで光を当ててあげると
林床が大きく変わるそうだ。

間伐やササ刈りで光環境を改善することで
生き生きとした森が蘇ってくる。
森づくりの楽しみ。




稚樹を刈らないようにテープで目印を付ける

2016年9月15日木曜日

10月7日から第6回市民科学者国際会議

第6回市民科学者国際会議が福島市で開催される。
2011年の第1回会議から低線量被ばくの
健康・環境・社会影響に関する科学的検証を続けてきた。

チェルノブイリ事故より30年、
福島第一原発事故より5年を経た今年は、
福島現代美術ビエンナーレとの共催を実現し、
新たに見えてきたものをより深め、参加者の
思考に新しい風が吹くようになればと考えている---とのこと。

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第6回 放射線防護に関する市民科学者国際会議
~東京電力福島第一原子力発電所事故の放射線被ばくによる健康影響を科学的に究明し、防護と対策を実現するために~

開催日           2016 年 10月 7 日 (日) ~10月10日 (月・祝)
会 場           福島県男女共生センター(研修ホール・ほか)
所在地   〒964-0904 福島県二本松市郭内一丁目196-1
主 催           市民科学者国際会議
共 催   ドイツ放射線防護協会      
      福島大学 芸術による地域創造研究所
      福島現代美術ビエンナーレ実行委員会
参加費   無料(同時通訳機手配等の都合上、HPより事前申込をお願いします)
その他   託児施設有り(事前申込が必要です)

*予定スケジュール* 
(スケジュールは変更になることもあります。また講演順序は入れ替わることもあります)

DAY1.
10月7日(金)OPEN 14:30 / START 15:00
作品上映「KUROZUKA 黒と朱/黒と光/闇の光」(渡邊晃一)ほか
基調講演 コルネリア・ヘッセ=ホネガー (サイエンス・イラストレーター)、キース・ベーヴァーストック (元WHO放射線・公衆衛生顧問)

DAY2.
10月8日(土)  9:00開場 
セッション 1. 低線量被ばくの疫学 9:30~
共同座長:キース・ベーヴァーストック(東フィンランド大学)、セシル・浅沼=ブリス(フランス国立科学研究センター)
円卓会議: 低線量被曝と公衆衛生の課題 14:30〜19:00

DAY3.
10月9日(日) 9:00開場
セッション 2: 原発事故後の言葉、法、倫理 9:30~ 共同座長 : 未定
セッション 3: 原子力災害後のアート モデレーター: 渡邊晃一 (福島大学 芸術による地域創造研究所)
円卓会議: 原発事故後の公衆衛生の枠組み16:00〜19:00

DAY4.
10月10日(月・祝)  9時開場
円卓会議とまとめ
共同議長 セバスチャン・プフルークバイル(ドイツ放射線防護協会)、島薗進(上智大学)

詳しくは、特設サイトをご覧ください:http://csrp.jp/csrp2016
参加申込みフォーム: https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSfDqJ8_NjuaVVczfh6iAeEyP1QgiH23YqcZHTFl15XdWO6zoQ/viewform